ハワイ島ヒロ初日

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)117日目:7月17日(金)
感染者数:1,334人(前日比23人増)

ハワイ島のヒロに来ています。Naʻau Hiloの新メニュー試食が目的の一泊二日の弾丸小旅行です。一泊二泊とは言え、かれこれ8ヶ月ぶりの旅行で、行く前から興奮状態が続いていてパッキングにもえらく時間がかかってしまいました。

内容の濃い一泊二泊の旅になりそうなので、ここでは時系列に立ち寄った場所を簡単に書きます。詳細は別途アップして、後からリンクするようにしますね。

チェックインもDepartment of Translationの質問票もインターネットで事前に済ませていたので、ホノルル国際空港ではなんの問題もありませんでした。TSAも並ぶことなく、空港到着10分後にはゲートに到着していました。ヒロへはハワイアン航空を利用しました。久しぶりの飛行機にドキドキします。

ヒロに到着後、まずはKIAに立ち寄って車をピックアップ。

まずは腹ごしらえということで、ヒロの老舗おかず屋「Kawamoto Store」に立ち寄りました。

名物の海苔巻きチキンは、11時前に行った時には既に売り切れでした。が、サクサクでローカルに人気のエビの天ぷらはゲットできました。

甘いことで有名なヒロのライチは、今がちょうど旬で、今回の旅の楽しみでもありました。宿に向かう前に、ヒロ市街から少し離れたOK Farms Hawaiiに立ち寄りました。

一人3キロ近くのライチをゲットして、今夜の宿泊場所となるホノムのホノム・インに向かいました。ホノムは、ヒロから車で10分ほどの小さな町です。

午後5時からのディナーまで各人部屋で休憩しました。私も、メールチェックをしてから少し昼寝をしました。

Naʻau Hiloは、ハワイ大学ヒロ校で教鞭を取るブラインアン・ヒラタ(下の写真の左)が繰り広げる移動レストランです。シェフ・ブライアンは、自分で狩りをし、海藻を拾い、野生の果物を自ら収穫します。幼い頃に祖母が作ってくれた料理を再現したりと、ハワイの人が自然と共存していた時代の食材を取り入れて独自のメニューを繰り広げています。

今日のディナーは、ホノム・インから車で5分ほどのThe Palms Cliff House Innで開催されました。10コースメニューのディナーは、どれも他では食べたことのないオリジナリティあふれる素晴らしいものでした。味やプレゼンテーションはもちろんですが、各お料理に秘められたシェフの想いが素晴らしく、「そこまでやるの?」というお料理ばかりでした。

 

宿に戻ったのは、既に午後11時近くでした。今宵は、ヒロ名物のCoqui Frog(コキコヤス蛙)の泣き声を聴きながら眠りにつきます。

ハレクラニの英断から学ぶこと

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)116日目:7月16日(木)
感染者数:1,311人(前日比19人増)

ワイキキを代表するホテル「ハレクラニ」が2021年7月まで休業することになりました。休業中は、ホテル内の改装をするそうです。

ハワイ州外からの渡航者に対しての14日間の自己隔離が義務となってから、ハワイのほとんどのホテルが休業し、再オープン時期は当初の4月末からどんどんずれ込んでいる状況です。来月どうなっているかもわからない状況では、中期および長期のビジネスプランも立てられません。

この時期に休業して改装するというハレクラニの英断は、財力に余裕があるからできることだとは思いますが、賢明な決断のように思えます。

もしかしたら、この英断は今の私たちにも当てはまるのかも。鎖国状態が終了して仕事が再開し、経済が元に戻るのはまだまだ先の今、ホテルの改装ならぬ自分磨きをして、パンデミック収束後に備えるという必要性を感じて何かしなくちゃと焦る今日この頃。オンラインクラスでも受けてみようかな。

「天国にふさわしい館」と呼ばれる「ハレクラニ」が再オープンする来夏までにはパンデミックも収束していて欲しいものです。

昨日のディナー Fête Bene ❤️ NY

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)115日目:7月15日(水)
感染者数:1,292人*(前日比29人増) *データに調整が入りました。

ダウンタウンの人気レストランFêteのエグセクティブシェフRobynne MaiiとシェフドキュイジーヌEmily Iguchi、そしてカポレイのMad BeneのエグセクティブシェフBao Tranの共通点は? 3人ともオアフ島に居を移す前はニューヨークのレストランで働いていました。そして偶然にもシェフEmilyとシェフBaoはマンハッタンのトライベッカ地区にあるLocanda Verdeのキッチンで切磋琢磨していました。

ニューヨークのようなアメリカの大都市で、人びとが住んでいるアパートや家から歩いて行けるほど近い場所にあるレストランを「neighborhood restaurant(近所のレストラン)」と呼びます。大きなチェーン店ではなく、オーナーシェフが小さいながらも手のこんだ美味しい料理を出すレストランです。

FêteもMad Beneも、そんな「neighborhood restaurant」を彷彿させるこじんまりとしたレストランでシェフが手間と時間をかけた他にはない料理を出しています。Fêteではイタリア料理をベースにしたコンテンポラリーな料理、Mad Beneではピザやパスタを中心としたイタリア料理をだしています。

この2軒のレストランの3人のシェフが集まって作り出したニューヨークのお料理を堪能するという素敵なイベントに行ってきました。残念ながら今宵一夜のイベントですが、今だからできるイベントですよね。ハワイ州外への旅行がままならない今、こんなイベントが増えればいいなと思います。

6コースの前菜は、スモークサーモンのサラダとベーグルチップ、そして少し酢で締めたカンパチです。スモークサーモンは缶に入っていて、上にはびっしりとイクラがのっています。スモークサーモンとイクラの間には、クレームフレーシュがたっぷり。このままナイフでベーグルチップにのせていただきます。甘酢でしめたカンパチにはケッパーとディルを和えたものが添えられています。都会的センスのプレゼンテーションとこの発想、そしてもちろんお味も素晴らしい一品でした。

2つ目の前菜は、ハワイ島ケアアウの子羊のカルパッチョです。長粒米をウコンと一緒に炊いたものをポン菓子のように圧力をかけて膨らませたもの(黄色い芋虫みたいに見えますが)やスパイスで和えたヨーグルト、中東料理のスパイスのスマックのオイル、トマトのコンフィと一緒にいただく子羊は、思ったほど獣臭くありませんでした。自家製ピタパンが薄いながらもモチッとしていて美味しかったです。

このガーリックピザはコースメニューに含まれていないのですが、Mad Beneのシグネチャー料理ということで特別に出してもらいました。6種の方法で調理したガーリックを使っています。ガーリックのコンフィ、ガーリックオイル、ガーリックのピューレ、ガーリックチップ、ガーリックのベシャメルソースとあともう一つ。。。どうしても思い出せません。次回お店で確認したいと思います。ガーリックの旨味が、あちらからもこちらからも攻めてくるようなピザです。

コースに戻って、蟹のスパゲッティです。イカ墨を練り込んだパスタ、ソースはトマトのコンポートです。ガーリックのクリームとハラペーニョ、パセリを使った鮮やかな緑色のグレモラータと一緒にいただきます。イカ墨のパスタは、ハワイではあまり食べる機会がないので、久しぶりにいただきました。このお料理は、シェフEmilyとシェフBaoが一緒に働いていたニューヨークのLocanda Verdeのクロスティーニに敬意を払って創作されたそうです。

ルッコラの上には、薄くスライスしたウイキョウ、ペッコリーノ・ロマーノとパルミジアーノ・レッジャーノのチーズ、キクイモ(サンチョーク)のチップス。サンチョークのアイオリと一緒にいただきます。

J. Ludovico農園で放し飼いで育てられたチキンを麹のブライン液に漬け込んでからローストしたチキンは、皮はパリパリで身はとても柔らかくジューシーです。チキンの旨味たっぷりで、付け合わせの野菜も美味しかったです。

もうここまででかなりお腹いっぱいなのですが、最後のデザートは欠かせません。ラズベリーとライチとローズウォーターの色鮮やかなシャーベット。この3つの味の組み合わせは、パティスリー界第一人者のピエール・エルメがよく使うことで知られています。バターミルクのパンナコッタとマンゴーのジュレにはひきわり小麦を使ったショートブレッドが添えられています。

Fêteのシンプルながらもセンスが光る空間でいただくニューヨークの味。目にも舌にも満足な夜でした。実は、私はまだMad Beneに行ったことがないので、そのうち是非行ってみたいと思います。

 

 

フェテ Fête
住所:2 North Hotel Street, Honolulu, HI 96817
電話番号:808-744-7400
URL: https://www.fetehawaii.com
Instagram: https://www.instagram.com/fetehawaii/
Facebook: https://www.facebook.com/fetehawaii

 

マッド・ベネ Mad Bene
住所:4450 Kapolei Parkway, Kapolei, HI 96707
電話番号:808-369-1390
URL: https://www.madbene.com
Instagram: https://www.instagram.com/mad.bene/
Facebook: https://www.facebook.com/madbene/

昨日のランチ @Rigo Hawaii

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)114日目:7月14日(火)
感染者数:1,264人*(前日比22人増) *データに調整が入りました。

ホノルルのほとんどのレストランはオープンしていますが、友人と出かける回数はめっきりと減ってしまいました。私は外食に抵抗はないのですが、相手がどう思っているのかが気になって、なんとなく食事に誘うと悪いかなと遠慮してしまっています。

そんな中、インスタの写真の撮り方のコツなどを教えてもらうアーティストの友人と久しぶりにランチに行ってきました。リアルに会うのは、もうかれこれ4ヵ月ぶりくらいです。メールやソーシャルメディアでは連絡を取り合っているとはいうものの、やはり実際に会うといろんな話しが出てきて、あっという間の2時間半でした。

ランチの場所は昨年オープンしたRigoというイタリア料理とスペイン料理を味わえるレストランです。と言っても、イタリア料理とスペイン料理をヘンに融合するのではなく、全く別物として本物のイタリア料理とスペイン料理を楽しむことができます。

内装はちょっとリッチでとても素敵です。天井が高くて空気が流れているので密にもなっていません。ソーシャルディスタンシングもしっかり守られています。

まずはドリンク。友人はきゅうりのソーダ、私はラズベリーのソーダにしました。ランチなので残念ながらアルコール抜きです。

一つ目の前菜は、ハワイらしくパパイヤを使ったクロスティーニ。マカダミアナッツのブロッサムハニーがマスカルポーネチーズと生ハムの塩味とよく合います。

二つ目の前菜は、ベネチア名物料理のインサオールです。油で揚げたうなぎを玉ねぎとレーズンと一緒に酢漬けにして、松の実を散らしています。

最後は、チキンのパエリアにしました。ブーツ型をしたイタリア半島のつま先部分のカラブリア州にあるスプリンガという町が発祥と言われるンドゥイヤというちょっと辛いスパイスが効いています。

ランチ時には、サラダをセットにしたお得なランチメニューもありましたが、今回は友人と一緒だったので、お料理を数点オーダーしてシェアしました。コロナ禍の今、ヨーロッパは遠い場所になっていましたが、ほんの少しイタリアとスペインをランチで楽しみました。Grazie & Gracias!

 

リゴ・ハワイ Rigo Hawaii
住所:885 Kapahulu Avenue, Honolulu, HI 96816
電話番号:808-735-9760
URL: https://www.rigohawaii.com
Instagram: https://www.instagram.com/paihonolulu/
Facebook: https://www.facebook.com/Rigo-Hawaii-326727378024929/

9月1日って

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)113日目:7月13日(月)
感染者数:1,243人(前日比23人増)

現在、州外からハワイへ渡航する人には14日間の自己隔離が義務付けられています。この義務は、観光客にもハワイ在住者にも課せられています。

8月1日から、ハワイへの渡航72時間前にPCR検査を受けて陰性であれば、ハワイでの14日間の自己隔離を免除されることになっていました。

つまり、日本からの旅行者も渡航72時間前にPCR検査を受けて陰性であれば14日間の自己隔離を免除されるということです。ただ、アメリカの指定するPCR検査を渡航72時間前に受けて結果を受け取るのは限りなく不可能に近いという事で、航空会社は直行便を運行しませんし、旅行会社もツアーを催行する予定はありません。

どちらかというと、アメリカ本土からの旅行者向けのプログラムなのですが、ハワイ開国への第一歩です。このプログラムがうまくいけば、第二歩目は日本やオーストラリアおよび韓国へのプログラムになるはずでした。

が、本日午後にイゲ知事より新型コロナウイルス感染者数が上昇傾向にあるため、プログラム開始を9月1日に延期すると発表がありました。

9月ということは、日本の夏休みも終わってしまっています。今年のハワイは、観光客のいない暑い夏になりそうです。

たかがマスク、されどマスク

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)112日目:7月12日(日)
感染者数:1,220人*(前日比21人増) *データに調整が入りました。

アメリカは「自由」を大切にする国です。そんな国風が好きで、長く住んでいたはずですが、今回の新型コロナウイルス禍でアメリカという国そしてアメリカ人を見る目が少々変わったように思います。

新型コロナウイルス禍初期の頃は、アメリカ疾病予防管理センターでさえマスク着用の効果を認めていませんでした。が、4月にやっとマスク着用の効果を認め、着用を推奨してきました。今では、なんらかの形でマスク着用が義務付けられている州もたくさんあります。

ところが、どうしてもマスク着用が嫌な人びとがいるようで、その理由が「行政による選択の権利の略奪」とか「マスクを着用しない理由は、下着を着用しない理由と同じよ。通気が必要なのよ」と、まあめちゃくちゃです。トランプ大統領に至っては、「マスクは大統領や首相、独裁者、国王や女王には似つかわしくない」とまで言っています。

今まで、決してマスク姿をメディアの前に見せなかった大統領ですが、昨日軍関係の病院を訪問した際にマスクを着用し、各メディアがこぞって写真付きで報道しました。

今ではマスクは政治に利用され、共和党の政治家はこぞってマスク着用に反対、民主党の政治家は賛成しています。

マスク着用ってそんなものじゃなくって、人に迷惑をかけないために着用するもの。慣れれば車のシートベルトと同じことじゃないのかな。

ファーマーズマーケット遍歴

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)111日目:7月11日(土)
感染者数:1,200人(前日比42人増) 

私のハワイでのファーマーズマーケット歴は結構長いです。

最初に行ったのは、20年以上前に住んでいたノースショアのサンセットビーチ・エレメンタリースクールの駐車場でクラフトフェアとして始まったファーマーズマーケットでした。

ホノルルに引越してからは、カピオラニ・コミュニティ・カレッジ(KCC)のファーマーズマーケットに行っていたのですが、観光客も含め来場者が多くなったので足が遠のいてしまいました。

そのほかにも、静かな住宅地にあるマノア・マーケットプレイスのファーマーズマーケットは落ち着いた雰囲気が好きでよく行きました。ホノルル市が主催しているピープルズ・オープン・マーケットに行ったり、ワイキキのハイアットリージェンシーのファーマーズマーケットにも行きました。

最近ではカカアコのファーマーズマーケットにも行っていたのですが、KCCのファーマーズマーケット閉鎖の影響もあって、ここも来場者が増えました。その上、新型コロナウイルス感染防止目的のソーシャル・ディスタンシングを取るために、テント内への入場制限があったりして、炎天下での長い待ち時間が辛くなってきました。

なので、今はパールリッジセンターのファーマーズマーケットに行っています。ホノルルからは車で15分ほどかかりますが、エアコンの効いた車の中で快適な音楽を聴きながらドライブすると、ちっとも苦になりません。

ここはマノア・マーケットプレイスと同じで、新鮮な野菜や果物を売る店が多く、ローカル色の濃いファーマーズマーケットです。

そして、今週からはザ・ピッグ&ザ・レディーのブースも出ました。今では、チャイナタウンとカカアコに店を構えるザ・ピッグ&ザ・レディーですが、元々はファーマーズマーケットで店を出していました。「初心忘れるべからず」ということなのか、ザ・ピッグ&ザ・レディーは今でもホノルルとカイルアのファーマーズマーケットで店を出しています。

私は、普段はファーマーズマーケットでは野菜や果物を買うだけなのですが、今日は友人と一緒にザ・ピッグ&ザ・レディーのBun Bo Nam Boを食べました。炒めた牛肉とたっぷりの新鮮な野菜がヴェルミチェッリという細い麺の上にのっています。

出来立てのお料理を屋外で気軽に食べることができて気持ちよかったです。

流れ流れてきましたが、これからしばらくはパールリッジセンターのファーマーズマーケットに通うことになりそうです。

ハワイの開国はいつ?

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)110日目:7月10日(金)
感染者数:1,158人(前日比28人増) 

3月23日から始まった新型コロナウイルス拡散防止のためのロックダウンも既に110日目を迎えました。

飲食店内での食事が禁止となり、ハワイ州外からの渡航者には全員14日間の自己隔離の義務が課せられ、ワイキキから日本や米国本土からの観光客が姿を消し、ハワイ州内でも他の島への渡航は禁止となりという、あれよあれよという間の完全ロックダウンでした。

が、110日目ともなると、本当に開国の日はやってくるのかと心配になってきます。

今のところ、8月1日より米国本土からの旅行者は渡航72時間以内にPCR検査を受け、新型コロナウイルスの陰性証明書提示を条件に14日間の自己隔離が免除となる予定です。国外旅行ができず、コロナ感染者が増えているフロリダ州やカリフォルニア州には行きづらいので、バケーションでハワイを訪れる米国民は多くなりそうです。

そしてその後、日本をはじめとする諸外国との間の渡航規制緩和が始まることになるのではないかと思います。

いつをもって、ハワイの開国、都市封鎖解除とするのがいいのかはわかりませんが、このブログの都市封鎖シリーズは、とりあえず日本との渡航規制緩和が始まるまでは続けようかなと思います。

緻密な料理 Pai Honoluluにて

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)109日目:7月9日(木)
感染者数:1,130人(前日比36人増) 

7月に入ってからはオフィスを再オープンした会社も多いと聞きますが、まだまだ人気の少ないダウンタウンにあるパイ・ホノルルで食事をしてきました。

オーナーシェフのケビン・リーさんは、サンフランシスコのチャイナタウンのお祖母さんのキッチンで料理に目覚め、カリフォルニア大学では食品化学を専攻、ニューヨークのカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ卒業後、ニューヨークの著名なシェフの下で経験を積みました。

その後ハワイに移り、カイルアのプリマ・ハワイでシェフを勤めたのち、2017年にパイ・ホノルルをオープンしました。店名のパイ(Pai)は、ハワイ語のホオパイ(hoʻopai)の省略形で、「奮起させる、かきたてる」という意味だそうです。お料理でゲストに喜んでもらい、今までになかった体験をしてもらうのがレストランだというシェフの趣旨のようです。

食品科学者のシェフ・リーが作り出すお料理は、ジャンルや国に拘らず、繊細かつ緻密なお料理なので、メニューを見るとあれもこれも食べたくなってしまいます。今日は、人気料理を集めた4コースのプリフィックスメニューにすることにしました。

まずは、白味噌ハニーバターを添えたバターミルクのコーンブレッドがでてきました。コーンブレッドは適度に温められています。こういうちょっとした心遣いが嬉しいですよね。

まずは12時間いぶした牛の胸肉を中華まんの皮で包んだお料理です。写真では見にくいのですが、スパイシーなトマトジャムがアクセントになり、キャベツのコールスローと一緒にいただきます。中華まんの皮をこういう使い方ができるのは、お祖母さんの影響でしょうね。

二番目のお料理は、シェフ・リーのシグネチャーディッシュです。揚げ出しにしたカブには、自家製のXO醬を使ったソースが添えられ、テーブルサイドでティリーフのコンソメが注がれます。コンソメには、クルトンではなくパパイヤの角切りが浮かんでいます。ちなみにティリーフというのは、お茶の葉ではなく、フラダンサーのスカートにも使われるドラセナ類の葉の呼称です。ティリーフのコンソメを出すのは、Paiだけだと思います。

メインはブラックビーンとガーリックを効かせた豚のスペアリブです。スペアリブの上には、エミリア・ロマーニャ州の郷土料理の手打ちパスタ「ストロッツァプレーティ」とモヤシとピーナッツがのっています。アメリカのスペアリブ料理、イタリアの手打ちパスタ、中華でよく使われる食材のモヤシを使った多国籍なお料理に仕上がっています。

デザートは、こちらもシグネチャーのトーストしたマシュマロのリリコイタルトにしました。上に乗っているピンク色の粉は、ハワイの魔法の粉「リヒムイ・パウダー」です。この甘酸っぱさがたまりません!マシュマロを焼いているので、ちょっとねっとりとした食感がいい感じです。

シェフ・リーによる緻密に計算された美味しさとプレゼンテーション。お店の雰囲気もよく、オープンキッチなのに騒々しくないので、デートや記念日にもいいかも。お店の前のテラスにも席があります。

 

パイ・ホノルル Pai Honolulu
住所:55 Merchant Street, Suite 110, Honolulu, HI 96813
電話番号:808-744-2531
URL: https://www.paihonolulu.com
Instagram: https://www.instagram.com/paihonolulu/
Facebook: https://www.facebook.com/paihonolulu/
Twitter: https://twitter.com/paihonolulu

100皿の効果 Paris.Hawaiiにて

ハワイ州ホノルル市ロックダウン(都市封鎖)108日目:7月8日(水)
感染者数:1,094人(前日比23人増) 

七夕の夜に再オープンしたParis.Hawaiiで食事をしました。入り口で体温測定があったり、キッチンとカウンター席の間にアクリル板が設置されたりと新型コロナウイルスの影響を感じながら席につきます。

テーブルに置かれたメニューを手に取ってみるのですが、食材の名前が並んでいるだけのメニューを見ても、どんな料理が出てくるのか全く見当がつきません。

メニューに「Asparagus: Asparagus Espuma / House Made Ricotta」と書かれた最初のお料理は、自家製のリコッタチーズの上にアスパラガスのエスプーマを重ね、オーブンでローストしたベーコンとさっと茹でて焼き付けたアスパラガスを散らせたもの。目にも優しい緑色、そしてアスパラの香りと味わいを十分に楽しむことができました。フワフワとした食感にベーコンのパンチが効いています。

「Oyster: Lava Rock Oyster / Paprika Puree」は、オアフ島クアロア牧場産のオイスターを使用。ココナッツの炭のベニエと一緒に揚げたオイスターをローストした赤ピーマンとパプリカのソースをつけて食べます。カキフライとは違った優しい食感と味わいに仕上がっています。黒いベニエを溶岩に、パプリカソースを溶岩流に見立てて、熱くした小石を周りに敷き詰め、かなりハワイ島を意識したプレゼンテーションです。

2年前のオープン時からメニューに登場している「Poke」ですが、今回は「Hawaiian Ahi / Beef Tartare / Black Garlic / Watercress / Tomato Géletine」となり、また少し進化したようです。ハワイ近海産マグロとキアヴェの木でいぶしたビーフタルタル、ガーリックのソースとトマトのゼリー、そしてハワイ産クレソン 。トマトの甘味と酸味が嬉しい一品です。ビーフタルタルがトマトのゼリーとよく合っています。

料理が進むうち、今夜のメニューと2年前のメニューの違いが気になりました。どの料理も前と同じようにハワイの食材を使用しているのですが、以前感じた気負いのようなものが感じられません。食材に立ち向かっていくのではなく、肩の力を抜いてハワイの食材を料理の中に自然に取り込めているのです。この変化はどこからきたのかしら、シェフの山中祐哉さんに何があったのかしら、そんなことを考えながらの食事でした。

「Coconut Shrimp: Coconut Crumble / House Made Cocktail Sauce」は、ハワイのガーリックシュリンプやココナッツシュリンプを意識した一品のようです。カウアイ産のジャンボシュリンプを真空調理し、ココナッツクッキーを砕き、酸味の効いた自家製カクテルソースと食用花のエジプシャン・スターフラワーが添えられています。

お魚は「Opah: Baby Manoa Romaine / Oyster Brine Foam」です。ハワイでよく食べる深海魚の赤マンボウを真空調理しているので、柔らかいジューシーな仕上がりです。ブール・ブランのソースとシーアスパラガス、そしてフォーム状のオイスターのブラインの塩分が淡白になりがちな赤マンボウの旨みを引き出しています。少し焼いたマノア・ベビー・ロメインレタスの焦げ味とニンニクの花のほのかなニンニクの香りがアクセントになっています。

ここで出てきたパンですが、外はパリッと、中はしっとりフワフワ。ハワイでは見当たらなかったパンです。シーアスパラガスの塩味が効いたバターはパンとの相性も抜群です。

二品目のシーフードは「Lobster: Lobster Consommé Soup / Kahuku Corn」です。ハワイ島コナから取り寄せたメインロブスターを真空調理し、グリルしたオアフ島カフク産のコーンをロブスターのコンソメでいただきます。残ったコンソメはパンと一緒に最後までしっかりといただきました。

シェフ山中流のロコモコは、「Loco Moco: Molokai Venison / Risotto / Browned Maui Onion / Egg Yolk Espuma」です。モロカイ産の鹿肉はしっかりとした味で、卵黄はエスプーマにしているので卵臭さがありません。(写真撮影に時間がかかってしまい、卵黄のエスプーマが少し流れた写真になってしまいました)

最後のお肉料理は、ニイハウ島産の羊肉かハワイ島の牛肉を選ぶことができましたので、もちろん羊肉を選びました。「Niihau Lamb / Taro Gnocci / Small Kine Garms Mushroom Duxelle」は、キアヴェの木を使ってグリルした羊肉がちょうどいい焼き加減。付け合わせにはタロのニョッキの揚げ物、デュクセル風ミニ・ポートベロマッシュルーム、そして赤ワインを煮詰めた赤ワインです。

デザートは、定番の「Kilauea Lava Cake」か新作の「Pineapple Koloa Rum Compote」ということでしたので、新しいデザートを選びました。パイナップルのシェイブアイスに焦げ目をつけて甘みを引き出したパイナップル、抹茶アイスクリームにココナッツクッキーを砕いてそぼろ状にしたものと、国境を超えたデザートです。パイナップルの酸味でさっぱりとしたデザートです。

2年前の秋にオープンしてから7つ目となるコースメニューですが、とてもバランスが取れたメニューになっていて、一緒に行った友人たちも「今までで一番いいメニューに仕上がっている」と絶賛していました。

食事後、山中シェフに外出自粛中のレストラン閉店の間に何をしていたかを尋ねましたら、週に一度は家でコースメニューを作っていたとのことでした。新たに試作した料理は100皿以上にもおよんだそうです。

今まで家では料理することもなかったそうですが、毎日自炊して家庭料理や保存食も作ったそうです。そして、料理本を読み返したり、調べ物をしたりしたそうです。

なるほど、毎晩レストランでお客様のために料理していると作れないような料理やレストランでは出さない料理を作っていた訳ですね。それも「週に一度のコースメニュー」と厳しいノルマを自分に課して。

シェフ本人が気付いているかどうかは不明ですが、外出自粛中に作った100皿の効果が既にしっかりとメニューに反映されているように思います。 これからは、バーカウンターで出したり、持ち帰り用に販売するサンドイッチなどの軽食、そして今晩のコースの中にもあったパンとシーアスパラガスのバターなどの販売も考えているとのこと。これからのニューノーマル時代のお店作りへの準備も着々と進んでいるようです。

料理中はもちろん普段から饒舌に客と話をするタイプではありませんが、こちらから質問すると的確な回答をしてくれる山中シェフは、外出自粛中に新しい発見や勉強もたくさんあったそうです。次への躍進が楽しみなシェフであり店であることは間違いないですね。  

 

パリハワイ Paris.Hawaii
住所:413 Seaside Avenue, 2F, Honolulu, HI 96815
電話番号:808-212-9282
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