10月4日(日) 感染者数:12,804人(前日比70人増) ステージ1
早朝にメールをチェックしていると、パリ在住でファッションデザイナーの高田賢三さんの訃報が届きました。新型コロナウイルス治療のために先月から入院なさっていたそうです。
高田賢三さんには一度お目にかかったことがあります。もう何十年も前に、客室乗務員として成田からパリ行きの飛行機に乗っていた時のことでした。その日、エコノミークラスを担当していた私は、出発前にお客さまを機内にお迎えしていました。お客さまは若い方が多く、社員旅行か何かかしらと思っていたら、あるお客さまが近づいてこられました。
お客さま:すみません、これを前に座っているケンゾーさんに渡してください。(と免税店の袋を渡される)
私:ケンゾーさんですか?ケンゾーさんって、どなたでしょうか?
お客さま:高田賢三さんです。
私:大変失礼しました。かしこまりました。
お預かりした免税店の袋を持ってファーストクラスへ歩いていくと、ドアの近くに高田賢三さんが立っていらっしゃいました。
私:高田さま、こちら、後ろにお座りのお客さまからでございます。
ケンゾーさん:ありがとう!(笑って軽く会釈しながら)
とても物腰の柔らかい、感じのいい方だったので、ずっと覚えていました。ちょうどパリコレの季節でした。
こうやって少しずつパリとのつながりがなくなっていくのかなと、一抹の寂しさを感じずにはいられない朝でした。
